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2020年度 生化学IIがまもなく定期試験を迎えます
はじめに
◆「生きているってすばらしい、でも生きているってどういうこと?」
生化学 I で学んだいろいろな生体物質はそこにじっとしているのではなく、他の物質に変化し(「代謝」といいます)、また居場所を変えます。生きている状態では、この変化がたゆみなく生じます。講義を担当しながらも、不思議だと思っています。
糖質や脂質・アミノ酸からATP産生へと向かう変化は生命の維持に必須なエネルギーを獲得するための代謝です。これ以外にも主な生体物質である脂質・タンパク質・核酸などの物質の流れを学びます。さらに、この流れが物質レベルのミクロな流れだけでなく、身体全体として捉えたマクロの見方も重要です。
今期は前半10回を高橋准教授、後半を東が担当します。
2020年度 生化学I講義を開講しました(終了)
第1回 第2回 第3回
第4回 第5回 第6回
第7回 第8回 第9回
第10回 第11回 第12回
第13回
◆「私は何者?」「君は何者?」
昔から多くの人が悩んだ問題を「私たちは何でできているか?」という問いに変えるなら、「私たちをつくっている生体成分はどのような構造の物質で、どのような働きをするの?」ということが知りたくなるのではないかと思います。「私は私が食べたものでできている」はずですが、中には食べた覚えのないものもありそうです。
生化学 I では、いずれ薬物の作用機序を理解する上で土台になる脂質・糖質・タンパク質・核酸・ビタミンなどの生体物質について学びます。大事なのは「学びの対象が私たち自身にも患者さんにも当てはまる」ということだと思います。暗記事項が多いですが、頑張りましょう!
第1回 脂質
Q:多価不飽和脂肪酸の表記で、Δを使った表記方法では二重結合すべてを表すのに、ωだと炭化水素鎖の先端から数えて最初しか表記しないのはなぜですか。
A:「命名の趣旨が違うため」です。Δは化学の言葉で脂肪酸を記述する際の表し方です。一方、ωは代謝系列、もしくは脂肪酸をグループ化するための表し方です。ヒトではω9の不飽和脂肪酸を材料にω3、ω6の不飽和脂肪酸を生合成できないことを学びました。生化学では化学のことばと生物学(栄養学)のことばが混ざって出てくることがあるので、その都度気をつけるようにします。
Q:モノ・ジ・トリとかリゾ・ビス・トリスなど、色々な接頭辞がある理由がわかりません。
A:モノ、ジ、トリは1、2、3にあたる倍数接頭辞です。複合した置換基や官能基修飾に対して接頭辞をつける場合は、2、3にあたるものとしてビス、トリスを用います。リゾリン脂質の「リゾ」は「消化された、溶かされた」を意味します。
Q:不飽和脂肪酸の方が同じ炭素数の飽和脂肪酸よりも融点が低く、常温での流動性が高いのはなぜですか。
A:シス結合をもつ不飽和脂肪酸では、二重結合の周りの立体配置のために湾曲した形をとるので、分子同士が十分につまった最密構造を取ることが難しくなります。この結果、不飽和脂肪酸であるオレイン酸は常温でも液体です。トランス結合を持つ不飽和脂肪酸では、折れ曲りがほとんどないので融点が高くなります(ステアリン酸70℃、オレイン酸(シス結合)12~16℃、エライジン酸(トランス結合)43~45℃)。
第2回 糖質
エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、アノマーの区別は大丈夫ですか(質問が多数ありました)。
教科書の定義では、「還元末端=二糖類以上の分子中で遊離のアノマー炭素が存在する末端」とあります。
少し難しい表現かもしれません。マルトース、ラクトース、(スクロース、トレハロースにはない!)の例で具体的に説明ができれば大丈夫です。
第3回 多糖
第4回 アミノ酸とタンパク質
Q:等電点を求める計算がわかりません。
A:例年は板書をしていたところです。添付のような図を作ってみました。これで考えてみてください。

第5回 核酸
第6回 ビタミン1
ビタミンB12の構造に関する質問がありました。