平成 23 年度星薬祭 10/29-10/30/2011



 平成 23 年 10 月 29 日〜 10 月 30 日の二日間、星薬祭が行われました。

 私達薬品毒性学教室は模擬店の出店はもちろんのこと、研究内容の展示を催したりと卒論生を中心に教室員一丸となって参加しました。

 模擬店では毎年恒例、薬品毒性名物の豚キムチ丼を販売しました。当教室秘伝の味付けで、例年通り行列が出来るのはもちろん、お持ち帰りの注文などが殺到しました。また今年は出前を行い、お客様にたいへん喜ばれました。

 展示では、生徒や一般の方だけではなく、薬剤師や他大学の方などにも有益である報告をしようと心掛けているため、内容を十分に吟味し、説明の練習や勉強会を行ったりしました。

 多くの方々に来て頂き、自分たちの研究室のことを知って頂くと同時に自分達の知らない臨床のお話や、一般の方の薬に対する考えなどが聞けたりなど、積極的にコミュニケーションを取りながら楽しく行うことができました。

 主な展示の内容は薬物の依存性や、疼痛治療についての説明でした。

 まず麻薬の説明です。麻薬は医療用麻薬と不正麻薬に分けられます。不正麻薬とはMDMAやLSDといった法律で禁止されているような薬物であり、投与初期には強烈な快感や高揚感、幻覚などが生じますが、作用が切れると倦怠感や焦燥感、妄想などといった症状が現れます。現在でもこれら不正麻薬の乱用は深刻であり、社会問題となっています。一方医療用麻薬は有効性、安全性が確立され、国で承認された薬物であり、その適正使用により安全でとても強力な鎮痛作用などを得ることができます。

 次に麻薬による依存性についてさらに詳しく説明させていただきます。薬物などで生じる依存は精神依存と身体依存の二つに分けることができます。精神依存とは薬物を摂取することで得られる快感を求め、わかっているけれど摂取をやめられない状態を指します。それに対し身体依存は、薬物を摂取している状態に体が適応してしまい、摂取が中断されると身体機能のバランスが崩壊し、禁断症状が現れるような状態を指します。しかし、かねてからモルヒネ等の医療用麻薬はがん疼痛等の慢性疼痛時では依存形成が形成されにくいことが臨床経験上知られており、このことに関しては当研究室においても基礎研究により証明することに成功しています。

 しかしながら日本では麻薬に対する偏見等から臨床の現場での医療用麻薬の使用が今ひとつためらわれており、他の先進国と比較しても低い水準となっているのが現状です。この状況を打破すべく、我々薬品毒性学教室は「緩和医療“薬”学会」の立ち上げや「がん疼痛・症状緩和に関する他施設共同臨床研究会(SCORE-G)」への積極的な参加などを行い、日本における医療用麻薬に対する偏見・誤解を解く努力をしております。


 これら医療用麻薬の重要性に関する説明は大変注目を集め、一般の方だけでなく薬剤師や看護師等の医療関係者の方なども話を聞いてくださいました。中には親族ががんでなくなられた方も、熱心に説明を聞いてくださり、「あのとき医療用麻薬を使っていれば良かった」という話もしてくださいました。

 今回の展示は、我々の行っているような基礎研究を臨床の現場に還元していくことがいかに重要となっているかを一般の方々にも知って頂ける大変貴重な場となったのではないかと自負しております。

 初めてのことばかりで上手く行かないことも多々ありましたが、仲間と協力し合って行事を成功させた達成感や充実感を得られ、更には多くの人々に説明し、意見を交換し合うという普段ではなかなか出来ない経験をすることができました。私たちにとって今回の経験はかけがえのないものであり、また将来においてとても大きな助けになるだろうと思います。


(文責 : 卒論生 4 年 宇田川 雄也)